1.全ての井戸から綺麗な水が出るわけではない・・・
DIYで掘れる井戸深さ数メートルの浅井戸の場合、井戸から出てくる水が必ずしもきれいな水かどうかわかりません。
なぜなら、浅井戸の場合は、雨水や生活排水、近くの工場の汚水などが地表面から地中にしみ込む可能性があるからです。
出典 東洋アーステクノ
http://www.s-toyo.co.jp/syurui.html
反対に深井戸の場合は、何十メートルも深い所にある水脈から井戸水を得るので、井戸付近の地表から水が浸透する事がなく、ずっと離れた場所から井戸のある場所まで地中を水が流れる過程で不純物が濾過されるため、綺麗な井戸水が得られる可能性が高まります。
しかし、自宅の井戸がDIYで掘った浅井戸だからといって、全ての浅井戸の井戸水が汚いというわけではないため、水質検査をしてどのような用途に使えるかを見極めるのが良いでしょう。
飲み水として使えないことが分かったとしても、お風呂や洗濯には使えるかもしれません。
ただし、庭の散水や洗車、その他にトイレなどで利用するのであれば、水質検査の必要はないかもしれませんね。
2.飲用井戸水に水質検査の義務があるの?
井戸水に限らず、飲用水に対する法律が水道法で定められています。
その水道法の第4条第1項に、「水道により供給される水は、次の各号に掲げる要件を備えるものでなければならない(≒水質基準に適合するものでなければならない。)」と記載されています。
ポイントはこの「水道により供給される水」が家庭の井戸からくみ出した井戸水に対しても適用されるかどうかですが、水道法第3条の「水道」の定義には規模などの情報はないため、個人の飲用井戸であっても該当するようです。
ただし、水質検査の義務については、第20条に「水道事業者は、厚生労働省令の定めるところにより、定期及び臨時の水質検査を行わなければならない。」と規定されていますが、ここで『水道事業者』とは「第六条第一項の規定による認可を受けて水道事業を経営する者(第3条第5項)」であり、『水道事業』とは「一般の需要に応じて、水道により水を供給する事業をいう。ただし、給水人口が百人以下である水道によるものを除く。(第3条第2項)」と定義されていることから、給水人口が100人に満たない家庭の井戸は水道事業ではないため、定期及び臨時の水質検査を行う義務はありません。
少し余談になりますが、水道法で規定する水道事業から外れる井戸等の衛生確保のために、厚生労働省が「飲用井戸等衛生対策要領」という要領も定めています。
この要領の中では一般飲用井戸は、「個人住宅、寄宿舎、社宅、共同住宅等に居住するものに対して飲用水を供給する井戸等の給水施設」と定められていて、「設置者等は、飲用井戸等につき定期及び臨時の検査を受けること。」と書かれています。
しかし、同要領の中には「定期の水質検査は、一般飲用井戸(設置者が専ら自己の居住の用に供する住宅のみに飲用水を供給するために設置するものを除く。)(〜中略〜)これ以外のもの(≒家庭用の井戸)にあつても1年以内ごとに1回行うことが望ましい。」という記述もあり、自身の住宅用に使っているだけの場合は水質検査の義務はないが、年に一度の水質検査が推奨されているだけにとどまります。
少し難しい内容になっていますが、要するに個人でDIYで井戸を掘る場合は、届け出をする必要はありませんし、水質検査の義務もないということになります。
全て自己責任でやってくださいということです。
次のページでは、井戸水の水質検査の項目と費用についてお話していきます。