井戸水の水質検査を受けるための具体的な方法と費用相場まとめ

井戸水の水質検査

我が家では自分で掘った井戸から出た井戸水の水質がどのようなレベルなのか(飲用、風呂、洗濯など)を調べるために、水質検査を依頼したことがあります。

水質検査というとなんだか難しそうなイメージがありますが、実際にやってみると簡単で、送られてきた容器に井戸水を採取し、それを送り返せば数日後に水質検査の結果を受け取ることができます。

この記事では、水質検査の方法(依頼から水の採取など)やその費用、そして得られた井戸水の検査結果の解釈の仕方など、水質検査を受ける前に知っておきたいことについてまとめておきます。

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全ての井戸から綺麗な水が出るわけではない・・・

DIYで掘れる井戸深さ数メートルの浅井戸の場合、井戸から出てくる水が必ずしもきれいな水かどうかわかりません。

なぜなら、浅井戸の場合は、雨水や生活排水、近くの工場の汚水などが地表面から地中にしみ込む可能性があるからです。

DIYで掘れる井戸深さ数メートルの浅井戸の場合、井戸から出てくる水が必ずしもきれいな水かどうかわかりません。
出典 東洋アーステクノ
http://www.s-toyo.co.jp/syurui.html

反対に深井戸の場合は、何十メートルも深い所にある水脈から井戸水を得るので、井戸付近の地表から水が浸透する事がなく、ずっと離れた場所から井戸のある場所まで地中を水が流れる過程で不純物が濾過されるため、綺麗な井戸水が得られる可能性が高まります。

しかし、自宅の井戸がDIYで掘った浅井戸だからといって、全ての浅井戸の井戸水が汚いというわけではないため、水質検査をしてどのような用途に使えるかを見極めるのが良いでしょう。

飲み水として使えないことが分かったとしても、お風呂やプール、洗濯には使えるかもしれません。

ただし、庭の散水や洗車、その他にトイレなどで利用するのであれば、水質検査の必要はないかもしれませんね。

飲用井戸水に水質検査の義務があるの?

井戸水に限らず、飲用水に対する法律が水道法で定められています。

その水道法の第4条第1項に、「水道により供給される水は、次の各号に掲げる要件を備えるものでなければならない(≒水質基準に適合するものでなければならない。)」と記載されています。

ポイントはこの「水道により供給される水」が家庭の井戸からくみ出した井戸水に対しても適用されるかどうかですが、水道法第3条の「水道」の定義には規模などの情報はないため、個人の飲用井戸であっても該当するようです。

ただし、水質検査の義務については、第20条に「水道事業者は、厚生労働省令の定めるところにより、定期及び臨時の水質検査を行わなければならない。」と規定されていますが、ここで『水道事業者』とは「第六条第一項の規定による認可を受けて水道事業を経営する者(第3条第5項)」であり、『水道事業』とは「一般の需要に応じて、水道により水を供給する事業をいう。ただし、給水人口が百人以下である水道によるものを除く。(第3条第2項)」と定義されていることから、給水人口が100人に満たない家庭の井戸は水道事業ではないため、定期及び臨時の水質検査を行う義務はありません。

少し余談になりますが、水道法で規定する水道事業から外れる井戸等の衛生確保のために、厚生労働省が「飲用井戸等衛生対策要領」という要領も定めています。

この要領の中では一般飲用井戸は、「個人住宅、寄宿舎、社宅、共同住宅等に居住するものに対して飲用水を供給する井戸等の給水施設」と定められていて、「設置者等は、飲用井戸等につき定期及び臨時の検査を受けること。」と書かれています。

しかし、同要領の中には「定期の水質検査は、一般飲用井戸(設置者が専ら自己の居住の用に供する住宅のみに飲用水を供給するために設置するものを除く。)(〜中略〜)これ以外のもの(≒家庭用の井戸)にあつても1年以内ごとに1回行うことが望ましい。」という記述もあり、自身の住宅用に使っているだけの場合は水質検査の義務はないが、年に一度の水質検査が推奨されているだけにとどまります。

少し難しい内容になっていますが、要するに個人でDIYで井戸を掘る場合は、届け出をする必要はありませんし、水質検査の義務もないということになります。

全て自己責任でやってくださいということです。

水質検査の項目と費用

それでは、気になる水質検査の費用と項目についてお話します。

飲用井戸水の水質検査の場合、井戸を新設した場合と井戸水の定期点検で2種類の水質検査に分かれます。

飲用井戸新設の検査項目(水質基準51項目、約5万円程度)

飲用井戸を新設した場合に良く行われる51種類の水質基準の検査項目です。

家庭用で自己飲用の場合に検査義務はありませんが、飲用する場合にはこの51項目の水質検査を実施することをおすすめします。

費用は約5万円程度で、納期は2週間程度が一般的です。

1一般細菌27総トリハロメタン
2大腸菌28トリクロロ酢酸
3カドミウム及びその化合物29ブロモジクロロメタン
4水銀及びその化合物30ブロモホルム
5セレン及びその化合物31ホルムアルデヒド
6鉛及びその化合物32亜鉛及びその化合物
7ヒ素及びその化合物33アルミニウム及びその化合物
8六価クロム化合物34鉄及びその化合物
9亜硝酸態窒素35銅及びその化合物
10シアン化物イオン及び塩化シアン36ナトリウム及びその化合物
11硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素37マンガン及びその化合物
12フッ素及びその化合物38塩化物イオン
13ホウ素及びその化合物39カルシウム、マグネシウム等(硬度)
14四塩化炭素40蒸発残留物
151,4-ジオキサン41陰イオン界面活性剤
16シス-1,2-ジクロロエチレン
及びトランス-1,2-ジクロロエチレン
42ジェオスミン
17ジクロロメタン432-メチルイソボルネオール
18テトラクロロエチレン44非イオン界面活性剤
19トリクロロエチレン45フェノール類
20ベンゼン46有機物(全有機炭素(TOC)の量)
21塩素酸47pH値
22クロロ酢酸48
23クロロホルム49臭気
24ジクロロ酢酸50色度
25ジブロモクロロメタン51濁度
26臭素酸

飲用井戸の定期検査項目(11~24項目程度、約8000~25000円)

先程の51項目の水質検査のほかに、定期検査でよくつかわれている11~24項目の水質検査の項目があります。

飲用以外での使用(お風呂、プール、洗濯など)の場合には、この11~13項目の水質検査(赤色)をやっておけば十分でしょう。

費用も8000円程度と手頃ですし、一週間程度で検査結果が手に入ります。

実際に水質検査を依頼して井戸水の水質のデータを入手しよう

私の家の井戸水は、飲用ではなくプールや庭の散水などに使うため、先程の11項目の水質検査を依頼することにしました。

水質検査の依頼_飲料水11項目水質検査 【ご家庭向け】

出典)日吉オンライン検査Web

今回利用したのは、この「HIYOSHI オンライン検査WEB」です。

検査費用の安さ(11項目で7560円)と、インターネットからの申し込みができる事からここのサービスを選びました。

水質検査の申し込み

「飲用水11検査項目」をカートに入れ、インターネットショッピングと同じように連絡先を入力していきます。

支払方法は後払いで、銀行振込のみでした。

途中でおやっと思った事は、水質検査の場合は試料データの名称を決める必要があるので、このような入力フォームが出てきたこと。

資料情報の入力フォーム

出典)日吉オンライン検査Web

ここは好みですので、それぞれの項目に好きな名称をつけていきます。

入力が完了したら、サンプラーが送られてくるのを待ちます。(1~2日程度)

井戸水水質検査パックが届きました

ちなみに、この検査キットの中には井戸水採取用のボトルが何本かと説明書が入っています。

井戸水の水質検査キットの中身

説明書を読んでみると、井戸水の採取の仕方が詳細に書かれていましたので、素人でも出来そうです。

水質検査キットの説明書

水質検査キットで井戸水を採取

それでは、この水質検査キットを使って井戸水を採取していきましょう。

蛇口をライターであぶり滅菌した後、5分ほど流水をした後の井戸水を採取していきます。

水質検査キットを使って井戸水を採取

全てのボトルに井戸水を取り終えたボトルにシールを貼り付け、郵送されてきたダンボールにボトルを戻して封をします。

IMG_5157

井戸水を水質検査した後にボトルをダンボールに詰め込む

井戸水採取後、すぐにクール宅急便で送り返します。

2週間程したら検査結果が戻ってきますから、その結果がくるのが楽しみです。

水質検査の結果

約2週間後、水質検査の結果が到着しました。

その結果がこちら。

井戸水を水質検査した結果

その中で、今回検査した項目だけを抜き出して、水道法の水質基準に照らし合わせると・・・

  • × 一般細菌;260個/mL(基準値;100個/mL以下)
  • ○ 亜硝酸態窒素;0.004mg/L未満(基準値;0.04mg/L以下)
  • ○ 硝酸態窒素;4.6mg/L未満(基準値;10mg/L以下)
  • ○ 塩化物イオン;15.5mg/L(基準値;200mg/L以下)
  • ○ 有機物;0.3mg/L未満(基準値;3mg/L以下)
  • ○ pH値;5.8 (基準値;5.8~8.6)
  • ○ 臭気;異常なし(基準値;異常でないこと)
  • × 色度;6.1度(基準値;5度以下)
  • × 濁度;2.2度(基準値;2度以下)

ということで、一般細菌と色度、濁度が飲用水の基準値を超えていました。

今回は、井戸水を飲用ではなく、プールや洗濯などに使う予定なので、基準値に近い色度と濁度はさておき、一般細菌の260個/mgという値が気になります。

詳しく調べてみると、一般細菌の項目の基準値は飲用水の場合は100個/mgですが、プールなどの場合は200個/mgという基準が存在しています。

出典)プール水の衛生・水質管理|内藤環境管理株式会社

また、横浜市が行った公衆浴場の水質検査の結果から、公衆浴場の一般細菌の数値は数百個から数万個/mLもありましたので、今回の一般細菌260個/mLという数値は、プールや洗濯に使うのには問題ないというような判断をしました。

>>平成20年度 公衆浴場浴槽水の水質実態調査 – 横浜市

この水質検査から、我が家の井戸水は飲用以外の全ての用途に使っていけることが分かりましたので、ようやく晴れて井戸水をプールなどに使うことが出来ました。

最後に一言

今回は、井戸水の水質検査を受けるための具体的な方法と費用相場まとめについてお話しました。

我が家の場合は、井戸水を飲用水利用する事をやめましたが、このレベルの水質ならそのまま飲用する事も可能でしょう。

実際に、私だけは実際にこの井戸水を飲んだりしていますが、今のところお腹を下したりしたことはありません。

ただ、どうしてもきれいな井戸水にしてから飲みたい場合は、井戸水を浄水して飲むことを検討してみる問い意かもしれませんね。

それでは!

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