井戸のことを調べていると、「浅井戸」や「深井戸」という言葉を目にします。
ただ、単に浅井戸と深井戸と聞くと、井戸の深さに違いがあるように感じてしまいますが、実はそうではありません。
浅井戸と深井戸の違いは、井戸のそこから湧き出てくる地下水の状態の違いにあります。
普通、井戸は地下深くまで掘り進めないと水が出てこないイメージがありますが、自然に水が湧き出てくるタイプの井戸(自噴井戸)などもあります。
この記事では、そんな浅井戸と深井戸、自噴井戸の違いについて詳しく説明しています。
地層と地下水について
具体的な違いについて話をする前に、まず地層や地下水の分類についてお話します。
地層水は、地中の砂つぶや礫(れき)の間の隙間にある水のこと。
ちょうど海岸の砂浜や河原で穴を掘ると湧き出してくるような水を思い浮かべてみてもらうと分かりやすいと思います。
砂浜で乾いた砂を堀り進むと少しずつ湿り気のある砂に変わり、ついに、ある深さより深くなると水がたまり始めます。
この水たまりの水面を地下水面と呼び、そして、この面から下の砂つぶの間の隙間は、すべて水で満たされています。
ちなみに、この地下水を含む地層を帯水層と呼びます。
前の砂浜の例で、湿り気を含んだ砂がでてきたあたりが毛管帯とよばれる部分で、地下水面から毛細管の原理で狭い砂つぶの間を水がのぼっているところです。
したがって、この毛管帯は砂つぶの間に水と空気の両方が入り込んでいるわけで、この部分から上を通気帯とよびます。
毛細管は、細いほど高くまで水をもち上げますが、地下水の場合も地層をつくっている砂つぶや土が細かいほど、この毛管帯の高さは高くなります。
不圧地下水(浅井戸)と被圧地下水
砂浜の地下水の例のように、地下水面の上に毛細管状の通気帯をもつ地下水を不圧地下水と呼び、この不圧水を汲み上げる井戸のことを浅井戸といいます。
これに対して、深井戸のように孔をあけた鉄管などを水を通しにくい粘土層やシルト層の下の砂礫層に入れると、その砂礫層の上面より高いところまで地下水があがってくる場合があります。
このような地下水を被圧水と呼び、被圧水を含む井戸はどんなに浅くても深井戸と呼びます。
なかなか出会うことができない「自噴井戸」
浅井戸と深井戸の他にも、自噴井戸という井戸が存在します。
ちょうど山と山の谷間にある土地などで井戸を掘ると、井戸ポンプを使用しなくても水が湧きあがってくる場所があります。
自噴井戸ができる条件は、加圧層の下にある地下水面よりも低い場所に井戸を掘るということ。
これはまれなケースですので、ほとんどの地域では浅井戸か深井戸を掘るという認識で良いでしょう。
最後に一言
今回は、浅井戸と深井戸の違いについてお話しました。
自分で井戸を掘る場合、少人数の人力で掘れる深さの井戸は、ほとんど浅井戸に分類されることになると思います。
実際に私が自宅の庭に浅井戸をほった時の様子はこちら。
>>【水道代を大幅節約】DIY井戸掘り&電動ポンプの設置の記録
それでは!